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誕生日に…トランプ大統領“肝いり”軍事パレードの狙いとは―― “軍の私物化”“権力の乱用”全米2000か所で抗議デモも【バンキシャ!】

2025年6月16日 10:35
誕生日に…トランプ大統領“肝いり”軍事パレードの狙いとは―― “軍の私物化”“権力の乱用”全米2000か所で抗議デモも【バンキシャ!】
日本時間15日朝、アメリカの首都ワシントンで34年ぶりとなる軍事パレードが行われました。大きな盛り上がりを見せた一方で「独裁者のパレードだ」などと批判する声も上がっています。かかった費用は、最大およそ65億円。トランプ大統領“肝いり”の軍事パレードはなぜ今実施されたのか。その狙いとは――。

    ◇◇◇

14日(土)午後9時すぎ、アメリカ・ワシントン――

バンキシャ!
「トランプ大統領が演説台の前に立っています」

その顔には、満足げな笑みが浮かんでいた。

トランプ大統領
「今夜、陸軍のみなさんが全アメリカ人を誇らしい気持ちにさせてくれた。世界中の人がこれを見ている。とても誇らしい」「我が兵士たちは決して諦めない。決して降伏しない。決してやめない。戦って戦って戦って勝つ勝つ勝つ!」

アメリカ陸軍の創設250年を記念し行われた、大規模な軍事パレード。開催は、トランプ大統領の“念願”だった。

きっかけは、8年前にパリで行われたフランス軍のパレードだ。1期目だったトランプ大統領は、これを現地で観賞。すると、その後の会見で…。

トランプ大統領
「ワシントンでも、同じことをするかもしれない。これに勝るパレードができるかやってみよう」

“自分も軍事パレードがしたい”と願望を口に。だが莫大な費用などを理由に、実現しなかった。

それから8年――。

抱き続けた願望を、“歯止め役不在”と言われる2期目の政権でかなえたトランプ大統領。さらに、この日は79回目の誕生日だった。

「Happy Birthday to you. Happy Birthday to you」

バンキシャ!
「トランプ大統領の誕生日を祝う歌が歌われています」

自身の記念日と重なったパレード。全米各地からは、“軍を私物化している”と抗議の声があがった。

デモ参加者
「このパレードは軍の犠牲に敬意を表すためのものじゃない。トランプのエゴだ」

また、費用は最大4500万ドル(およそ65億円)にのぼるという。

デモ参加者
「独裁者のパレードに4000万ドルも使うなんて。それは納税者の金だよ。俺の金だよ」

こうした“反トランプデモ”は、日本時間14日時点で予定された数は全米でおよそ2000か所にのぼった。

    ◇◇◇

深まる分断。

実に34年ぶりに行われた軍事パレードは、いったいどんなものだったのか。13日(金)、「バンキシャ!」はパレードを翌日に控えたワシントンに入った。

バンキシャ!
「パレードの会場なんですが、テーブルがずらっと並んでいます。セキュリティーのためのゲートでしょうか」

トランプ大統領“肝いり”のイベントを前に、準備が着々と進められていた。ホワイトハウスの正面を走る大通りがパレードの舞台となり、およそ1.4キロメートルを6000人を超える兵士や130ほどの車両が行進する。

取材中、沿道近くにたたずむ人がいた。

バンキシャ!
「なぜ今日ここにいるんですか?」

ウィスコンシン州から来たトランプ支持者
「4日前にワシントンに来て、このあたりで寝泊まりをしているんだ」

“大ファン”のトランプ大統領を最前列で見るため、4日前から待ち続けているという。夜になると、いち早くゲートの前でスタンバイ。

ウィスコンシン州から来たトランプ支持者
「すごいでしょう、1番乗りだ」

パレードまでは20時間。仮眠をとりながら朝を待つという。

迎えた当日―ー。

ゲート前には、パレードを心待ちにする人々が集まり始めていた。
ロサンゼルスから来たトランプ支持者
「たくさんの国がパレードをやっているのに、アメリカはやっていなかったんです。私たちは最も強い国なのに。だから見たいんです」

開始まで3時間半、ついにゲートが開いた。「バンキシャ!」も、パレードが見える場所を目指し歩を進める。

そして14日(土)午後7時すぎ、パレードの開始時刻となった。

「お集まりのみなさま、アメリカ大統領ドナルド・トランプ登場です」

沿道のステージに、トランプ大統領とメラニア夫人が姿を現す。34年ぶりの軍事パレードが始まった。

まずは…。

バンキシャ!
「パラシュートですね!兵士がパラシュートでおりてきます!」

パラシュート部隊が空から降下し、観客を盛り上げる。

続いて――

「こちらは伝説の4人乗り指揮官用偵察車・ジープです。第2次世界大戦の象徴となる車両です」

第2次世界大戦や湾岸戦争など、歴代の戦争に投入された部隊や車両が紹介されていく。1人立ち上がり、敬礼をするトランプ大統領。途中、BGMが切り替わると、現れたのは「現代の車両だ」。さらに犬を模したロボット兵器など、「未来の技術」も登場した。

NNNワシントン 山崎大輔支局長
「ガッツポーズのような…。拳を振り上げました」

およそ3時間にわたり続いたイベント、最後は花火で幕を閉じた。

    ◇◇◇

アメリカの安全保障に詳しい専門家は、この軍事パレードをどう見たのか。

明海大学・小谷哲男 教授
「このパレードをやること自体が“トランプカラー”だったわけですが、フタを開けてみればパレード自体はそれほど目立つ、派手なものではなかったと思います」

“軍の私物化”“権力の乱用”と批判のあったパレードだが、力を誇示するために最新兵器をお披露目することもなく、「歴史を振り返るイベント」にとどまったという。

明海大学・小谷哲男 教授
「最後の演説も含めてかなり政治的な面は抑えたんだと思います。というのも、全米各地でパレードに反対するデモが行われていましたので、あまりこの件で政治的なハレーションを引き起こしたくないという判断が働いたのではないか」

(6月15日放送『真相報道バンキシャ!』より)
最終更新日:2025年6月16日 10:39